『爽やかな夏空と同じスカイブルーのお便り、ありがとうございました。』


最上来未と名乗る女性から届いた2通目の便りは、そんな始まりだった。


『またしてもご挨拶が後になってしまい、申し訳ございません。こんにちは。小野寺 漠 様』


間の抜けた文章を読むと、正直ホッとした気分になれる。

聞いたこともない彼女の声が重なってくるような気がして、無性に気持ちが和んだ。



『小野寺様から届いた手紙を手にした瞬間、高校時代に見た夏空と同じ色をしてるな…と思いました。

高校野球の予選大会で県の野球場へ嫌々応援へ行かされたことやプール開きの日に友達と飛び込んで叱られた思い出。

臨海学校でのカヌー教室に夏期講習。

暑さと眩しさと汗に包まれた夏の日々は、今も私の胸のうちに残っています。』



ーー具体的な夏の思い出に苦笑した。

自分が思い描いた夏とはまた別の良さがあると思った。


『まさかお返事が頂けるとは思わず、書いてあった通り時間も経過しておりましたので、一体誰からだろうか…と少々首を捻ってしまいました。』




「だよなぁ…」


小さくコメントした。



『津軽芽衣子という名前が出てきて、改めて自分が便りを寄せた方だと分かり恐縮しました。男の人からお便りを頂いたのはかなり久しぶりでしたので、すごく焦ってしまった次第です。』