3通目のレターセットは、津軽先生のセレクトブックに付いてる帯と同じフレッシュグリーン。

若草色と言えば古い言い方だけど、言わばそんな感じの色。


「毎回違う色のレターセットを一体どこで買い求めてくるんだろう…」


年齢が自分と同じだったとして、そういった年代の男性達が文具コーナーにいるのを見たことがない。

小野寺さんという人が編集者だとしても、どうにも繋がらないものがある。


私のようにレターセットを集めるのを趣味にしているのならともかく、そうでなければ一体どこで買ってくるのか。


質問してみたい思いを胸にして手紙を読んだ。

文字だけの恋人は今回もまた、ひとしきり私を褒め称えていた。




『こんばんは。来未さん』



(こんばんは……?)



何故にそんな始まりなのかと思った。

『初めまして』から『こんにちは』に変わり、今回は『こんばんは』になっている。

呼び方も少しずつ変化している。その意味合いを文字の中から受け取った。



『今回の手紙も夜中に読まれているのではないかと思い、そう書いてみました。もしかして昼間に読まれているのだとしたら、是非、夜に読んで頂きたい間抜けさではありますが…。』


乗っけから笑える手紙に心が和んだ。

3通目の手紙は、仕事から帰って直ぐに読み始めていた。


夜中まで待てそうになかった。

小野寺さんから手紙が届くのを、毎日待ちわびていたから。