朝起きて、リビングに行くと、朝ごはんのいい匂いが部屋中に広がってて、お父さんは新聞を読みながらコーヒーを飲んでいる。お母さんはニコニコしながら私に気付いて、優しく「おはよう」って言う。そんな朝が、頭では理解できる。だけど、心が分かってないの。その時どんな感情で、どんな事を考えているかとか。ドラマを見てるような感覚に近くて、ぼんやり遠くから眺めてるような感じ。自分の事だと考えられない。だって、当たり前じゃないから。
私にとっては、あまりに現実味の無い事…

きっと目の前で昨夜のドラマの話しを楽しそうにする君には、一生わからない事でしょう?私に君たちの当たり前が理解出来ないのと同じ…。だって君たちにとっては、
ドラマだものね、私たちの当たり前が…

「最近、児童養護施設が舞台のドラマ多いよね」
彼女のそんな言葉に、笑顔で私は答えた。
「そうだね…」