「ねぇねぇ、希望ちゃんと結城が付き合ってるってほんと?」



興味津々で聞いてくる目の前の男の子。



今週この言葉を聞いたのは、何回目だろうか...。



球技大会が終わってはやくも一週間が経とうとしている、月も変わって7月。



私は暑さだけでなく、"ある噂"にまで悩まされていた。



「や、やややめて、やめて、やめて!声が大きいよ!」



チラッと結城くんを見ると、窓の外を見ている。



ふぅ...、セーフかな?



「どうしたんだよ?そんなに焦って。で、結城とつ...んぐっ...」



もう一度言おうとしたところを、慌てて口をおさえる。



「しっ!しー!付き合ってないってば!付き合ってないから、もうその話にはふれないで」



苦しいのか顔をほんのり赤くしながらコクんコクんと頷く彼を信じ、ゆっくり手を放す。