ケータイ小説 野いちご

正しい紳士の愛し方

Episode.4 正しい紳士の愛し方



***


大和さんとキスをした。


ホテルでの身代わりものじゃなく、樹本人に向けられたキス。


キスくらいで大袈裟な……って思うのかもしれない。


しかし、樹にとっては重要なことだった。


樹が働く美容室は定休日。


髪を切って欲しいという大和さんからの要望は、二人の休日が一致したことであっさり実現する。


約束の時間は正午。


大和さんが住むマンションにお邪魔する予定になっている。


カットに必要な道具とお昼時ということもあって手作りのお弁当を持って街中を歩く。


両手に結構な荷物だ。



ちょっと作りすぎたかな……



樹は休憩がてら喫茶店の自動ドアをくぐった。


窓際に席をとると「いらっしゃいませ。ご注文はお決まりでしょうか?」と店員がお冷やを運んでくる。


「ホットレモンティーひとつ」


樹が注文すると店員は「かしこまりました」と店の奥に下がる。


スマホで時間を確認する。


十一時過ぎ。


訪問時間には少し早い。




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