数分前、山崎が屯所に戻って来た時に土方は局長の近藤勇と、自室で話をしていた。


近藤は、人望も剣の腕もある。


何より人を自ら信用しようという性格の持ち主で、前向きで明るいその姿は沢山の人物を引きつけた。


土方に比べれば人を叱る事を得意とはしていないが、堂々たる姿は正に新撰組を率いる者として相応しいものだ。


ちょうど、出先から戻った近藤に作戦について話している最中に山崎が帰ってきたため、丁度いいと土方は満足そうに頷いた。


『ご苦労だったな』


息が少し乱れている山崎に、急いで知らせに戻ってきてくれたことを察し、土方は言葉を待った。


『先ほど現れました。詳細は掴めていませんが、小柄な人影でした。今、沖田さん達が戦っているかと……』


『わかった。山崎、下がっていいぞ』


土方は作戦に参加した三人ならば問題ないと判断し、近藤と共に門前に出てその帰りを待った。


(総司のやつ、殺してねぇといいが……)


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それから十分ほどした時、遠くからゆっくりと歩いてくる人影が三つ見え、二人は三人が無事であることを確認した。


おそらく沖田と思われる真ん中の人影が、何かを抱えているようにも見える。


もしや捕らえられたのだろうか。