「ねぇ春樹くーんどこまで行くノォー」

「ムンクみてぇな顔すんな」

俺たち3人は地下鉄で30分ほど揺られている。

しかし松美の髪はほんとにボサボサだ。

わしゃわしゃーと松美の頭を掻き乱す。

「…」

松美は放心状態で窓の外をじっと見ているだけだった。

「バッサリいっちゃうからな」

少し首が前に傾いた。
こいつなりの意思表示らしい。

「で?どこまで行くノォー」

「俺の、行きつけの美容院だ
この俺のヘアスタイルを維持してもらっている」

「そこ大丈夫〜?なんか不安なんですけど」

「なんで不安なんだよ!」

「だって春樹の髪型派手なんだもーん」

「はぁ?人気者はこれ位目立たなきゃいけないの。わかる?凛ちゃん」

「俺は母さんにもらったこの茶髪を守り続ける!」

「てめぇ絶対染めてんだろ」