「おはよっ!」


「おせーよ」


両手をポケットに突っ込んでだるそうにわたしを見るコイツ。


付き合いはかれこれ16年目。

わたしとコイツの年齢は16歳。


…そう、生まれてからずっと一緒。


「トーシ!また眉間にシワが寄ってる」


トシ…坂本俊哉(サカモト トシヤ)

毎日、隣の家に住むわたしを起こしに来ては、

ダルそうな顔をしてわたしが家から出てくるのを待ってくれている。


嫌味は言うけれどなんだかんだ、優しいやつなのだ。


「ユウのせいでまた遅刻ギリギリだな」


わたし、柴田優子(シバタ ユウコ)

トシを始めとするほとんどの友達にユウと呼ばれている。


「行くぞ」


「ちょっと待ってよー!」


家の庭から自転車を引っ張りだしている間に

トシは先に駅へ向かって行ってしまう。



でも、もうこんなことは慣れっこ。


だってこれがわたしたちの関係で、

わたしたちの日常だから。