卒業式当日。


「えっ、茉奈、目、どうしたの?」


私は一晩泣き明かして目がパンパンに腫れていた。


今日は先輩と最後の日なのに……


「うぅぅ、依ちゃんのバカ〜!!なんで変なこと言っちゃうのよー!!」


「あぁ……」


依ちゃんはやはり思い当たる節があるようだった。


「先輩に言ったことは謝る。けど、やっぱあれくらい言わないとと思ってさ。私の大事な友達傷つけるなってね」


「依ちゃん…」


「でも茉奈の気持ちが一番大事だからさ。私は達郎の方がいいと思うけどね」


そう言って照れくさそうにする依ちゃん。


「あ、卒業式始まるよ」


吹奏楽部の演奏とともに、卒業生が一人一人入場してくる。


依ちゃんは私のことをたぶん、いや、きっと心から心配してくれているからきっと先輩に言ってくれたんだよね。


私も分かってる。


今日が本当に最後。


大丈夫。昨日たくさん泣いたから。


覚悟なんて




───もう出来てる。