【陽菜side】




――どれくらい時間が経ったんだろう。



降っていたはずの雨はいつのまにか止み。



どうやら、一時的な豪雨だったらしい。



それでも、あたしはその場に立ち尽くしたまんまだったから、からだ全身びしょびしょなんだけど。



はあ……ついてなさすぎる。




飛鳥はまだ来ないし………。



昼休みだって、あと、5分、10分で終わっちゃう頃だし。


額に張り付いた髪をとりながら、そんなことを考えて、


「やっぱ、ダメだったか」


と、自傷的に笑った。


来てくれないってことは、そう言うことだ。



これが、飛鳥の答え。


飛鳥が選んだ、結論。



私にはもう……取り繕って縋ることすら、もう……。


悲しくて、空しくて。それ以上、なにも考えたくなくない。




………でも、でもね。


最後になるのなら、せめて、チャイムがなるまでは、ここにいたい。


無駄な悪足掻きかもしれなくても、

来るかはわからない、本当に来ないかもしれない。



――…だけど、それでも。


少しでも希望が残っているのなら、私は信じたい。だってまだ飛鳥のことを、信じてるから。