*
「ねぇ、紗帆ちゃん。最近どこ行ってるの?」
「え……」
夕飯の後、いつもならすぐさま彼の部屋に行くはずの柿崎さんが、めずらしく部屋の机の上で頬杖をついて私をじっと見た。
「えーと……」
どう説明するべきか言いよどんでいると、
「あ、ごめんね。言いたくなかったらいいんだけど、いっつもののばっかり喋っちゃって、紗帆ちゃん自分のこと話さないから……」
「あ……」
「ちょっとね、寂しいなって」
そんなことを思ってくれてたんだ。
私に興味を持ってくれる人がいたなんて……。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…