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絶対値のゆくえ

|私と君|








「いずー。片づけ終わったー?」



扉越しにお母さんの声が聞こえた。



「うん、だいたいー」



荷ほどきをして物の整理をしていたら、あっという間に夕方になっていた。



オレンジ色の優しい光に包まれた、新しい自分の部屋。



クローゼットの中には、記念に持ってきた私の中学の制服と。


その隣には、ボタンの無い君の学ランがかかっている。



寄り添うように並んだ、その2つの制服を見ると、


最後、キスをしてくれた君の感触を思い出してしまった。



「よっくん……」



胸が切なくなってたまらなくなる。


私は君の制服をハンガーから外し、ぎゅっと抱きしめていた。



って何してるんだろう、私は!


と、1人でテンパっていたら。



「ん……?」



がさりと紙がこすれる感触がした。


ポケットからかな?



その中を探ると、1枚の紙切れが入っていた。




「……っ。ばか、よっくんのばか……うぅ」




くしゃりと音を鳴らしながら、私はそれを握りしめた。





君の想いを知った私は、


部屋の中が真っ暗になり、母に「ご飯よー」と呼ばれるまで、1人で泣いていた。





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