ケータイ小説 野いちご

絶対値のゆくえ

-3








それから卒業式の日まで、私は君に話しかけることができなかった。



君も私を見ることは一切、なかった。



学校の授業はほとんど無く、あまり教室にいることもなくなったし、


私も高校入学の準備で、引っ越し先の街に行ったり、戻って来たりを繰り返していた。



卒業式では、仰げば尊しを泣きながら歌っている同級生たちの姿があった。



私も涙が出た。


この街を離れなきゃいけないこと、君との関係が決裂したままなこと。




本当は、試験が終わったら君に好きと伝えて。


一緒に、高校生活を送るつもりだったのに。



君と一緒に勉強を頑張った思い出は、


あの時こうしていれば、ああしていれば、と後悔だらけのものになった。




もうこの街を去る時間は、着々と迫ってきている。



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