「先生、珈琲いかがですか?」

 長い時間、パソコンの画面に見入ったままの日向に声をかけた。

 彼は集中していて、私の声には全く気づかない。

 私は彼との距離を詰め、その耳元に唇を寄せた。

「先生、珈琲が入りました」

 キーボードの上を滑るように動いていた日向の指が、ピタリと止まった。

「……ありがとうございます、木崎さん」

 もう何度も愛し合ような仲なのに、昼間の二人は未だに少しぎこちない。