ケータイ小説 野いちご

君の隣でクリスマスを祝う

11月の魔法~Sweet November~
my bitter days

 夜風の冷たさを実感し始めた十月。私は一人、家路を急いでいた。

 借りているマンションは五階建てで、昔はダイエットの為に毎日階段を上り降りしていた。

 でも、そんな気力はとうに無くしてしまった。

 存在を主張する階段の前を素通りして、おとなしくエレベーターのボタンを押す。

 三階の、角部屋を選んだのは私の小さなこだわりだ。
窓を開ければ、ベランダの向こうにはいつも玩具みたいに小さな東京タワーが見える。

「ただいま」

 もう誰もいないってわかってるのに、これだけはいまだに止められない。

 私は重い玄関のドアを閉めると、一つため息を吐き出した。


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