「おはよう紗菜!」


「ん?おはよう」


紗菜はイヤホンを耳に差して、好きなバンドの雑誌から目を一瞬だけ上げてあたしを見る。

朝からカッコいいねぇ紗菜さん。


…てか、なんでイヤホンしてるのにあたしの声聞こえたんだろう。


そんなにあたしの声デカイかな。


頭に「?」を浮かべながら、紗菜より3つ前の席に座る。


近くの席の子とも、軽く挨拶を交わしていると、ある会話が聞こえた。


「ねぇ!今日転校生が来るって知ってる?!」


「知ってる!しかも噂ではイケメンなんだって!」


「まじ!?あたしたちのクラスに来ないかなぁ~っ!」


へぇ、転校生が来るんだぁ。


なんて、最初は思ってたんだけど。


そういえば昨日、真さんが「明日になればわかるよ」と言っていたのを唐突に思い出して、冷や汗が出てきた。


ま、まさか、まさかまさか。


あの人たちが、転校してくるんじゃ…!