「ねぇお母さん」

「ん~?」


テレビを見ていてあたしの話を聞いているのかいないのかわからないお母さんを横目に見る。


「隣、家建て替えてるんだね」

「…うるさいって言いたいんでしょ?」

「なぜわかった」

「あんたがそんな顔してるからよ」


あたしは自分の頬をむにっとつねって見せて、問題集に取りかかった。

いや、テストが近いんですよ。

高校2年になって、初めてのテストだからちょっと頑張ろうと思ったのに、隣からズドド、がしょーん、じゃ集中できない。


隣には元々ちょっとボロめの家が建ってたんだけど、あっという間に壊され、新しい家が造られている。


「ってことはー、誰か越してくるんだよね。イケメンがいいな~」

「いいからさっさとやんなさいよ」

「ん~…」


完全にやる気なくなった…。


座っていたソファにごろっと横になる。

「かーのーん~?」

「なぁに」

お母さんが勉強しろと言わんばかりの目であたしを睨む。


口を開きかけたとき、ピンポーンとチャイムが鳴った。


「あ、お客さんだ。出ないとね~」

「こら、逃げるんじゃないよ」

あたしは小走りをして玄関に向かう。

昨日頼んだ服でも届いたのかな、早すぎか。


「はーいどちらさ…まで…」


うわぉ?