「はぁ…早く会いたいよ。」




スマホの待受画面を見つめながら、ため息と共に思わず心の声が漏れてしまった。





「会いたいって…彼氏にですか??」




聞こえていたのか、隣でお昼ご飯のお弁当をつついていた新婚ホヤホヤの後輩、山田がニヤニヤしながら聞いてきた。



うるさいよ、隣でそんなラブラブな愛妻弁当なんて広げてんじゃないわよ。




「違うっての。姪っ子よ、姪っ子。
もう、超可愛いのよ。天使よ、リアルな。」




そう自慢げに言いながら、スマホの待受画面を見せてやる。



そう私の待受には妹の娘、私の姪っ子の写真が設定してある。




「あ、ほんとだ。めっちゃ可愛いじゃないっすか。というか、意外と子供とか好きなんすね。」




私の姪っ子なんだから、可愛いに決まってるじゃない。


というか、その意外と子供とか好きなんすねって何よ。


独身の三十路の女が子供好きじゃなかったら、それこそヤバいじゃない。




と、タラタラと心の中で愚痴りながら、画面の中の天使を再び見つめた。




西藤 美冬(サイトウ ミフユ)、31歳。独身。
そんなに大きくはないけど、やりがいのある不動産の会社に勤めて、そこそこ長い。




彼氏いない日々もそこそこ長い。