ちょうどいい温かさの太陽の光。


頬を撫でる心地よい風。


鼻をくすぐる、木々の匂い。



朝、私、橋本希依(はしもときい)はいつも通りの時間に家を出て大きく息を吸い込む。


すると、隣の家から同じ制服を着た男の子2人が出てくる。



「玲大(れお)、理大(りお)、おはよう!」



2人に大きな声で挨拶をして、手をブンブン振る。



「希依ちゃんおはよーっ!!」



1人は私に駆け寄ってくると、ギュッと抱き付いてきた。



「わぁ!もう、理大やめてよ」



「希依ちゃんが可愛いのが悪いんだよっ」



「意味わかんないんだけど……」



山田理大(やまだりお)。
私の隣に住む幼なじみの1人。
甘えん坊でいっつも私を見つけると、抱き付いてくる。



そして理大の双子の兄の、山田玲大(やまだれお)。
玲大は理大とは違ってクールで、無愛想だ。
でも、いざという時にはちゃんと助けてくれる、優しい人なんだ。



……私は小さい頃から玲大が好きだったりする。



眠そうにあくびする姿も、ぴょんとはねた寝ぐせも、全部愛おしい。



本人に気持ちを伝えたことはないけどね。