「起きろー!」
「…後五分…ムニャムニャ…」

「遅刻するって言ってんだろー!」
ドスッ!

「…ギャ!…お、重い…死ぬー!」

バチっと目を開けると、凛の上に馬乗りにな秋夜が目に入った。

「…やっと起きたか?」

馬乗りのまま、そう言ってニヤリと笑った秋夜。

「…起きた、起きたから、下りて、死ぬー‼︎」

部屋一杯に叫んだ凛。その声を聞きつけ母の怒声が飛ぶ。

「朝っぱらから何やってんのよ!さっさと下りて来なさい!」

「「…はーい」」

…いい歳した大人が、朝っぱらから、何をしてるのか。母が怒るのも無理はない。

ノソノソと準備を済ませた凛と秋夜は、2人で出勤した。満員電車は、凛にはキツイ。同じ駅で降りる秋夜が守ってくれるから乗れてるが。

「もー少し背を伸ばせ」

秋夜の言葉に、凛は秋夜を見上げ睨んだ。
「この歳で、背なんて伸びるわけないでしょ!」
「はいはい、ピーピー煩い!お、新」

向かいのホームに新がいて、凛達に手を振っている