「……か……」



身体の中心から熱を持っているように熱を持つ肌にひんやりとした空気が触れる。

人工的なそれは思ったより冷たく、気持ちいい。



「……え……か……」



ぼんやりと持ち上げた箸をそのままにしていると、突然目の前に広がる綺麗な顔。



「おーい、笑花。俺の話聞いてる?」



さらりと髪が揺れて、わたしを上目遣いで見つめている澄んだ瞳の持ち主は、



「は、はるくん……」



わたしの彼氏だ。



「その反応はやっぱり聞いてなかったな?」

「え! えっと、その……ごめんなさい」

「はは、うん。いいよ」



眉を下げて謝れば、爽やかに笑って許してくれるはるくん。

ちょっとからかってみただけだよ、なんて可愛いことを言われて、思わず顔が熱くなる。



いつものように彼のえくぼにきゅっと胸が甘く締めつけられて、そっと目を伏せた。



はるくんが人気者なのは、こういうところも理由なんだと思う。



気軽に声をかけて、からかったり文句を言ったり。

なのに簡単に許してくれる親しげな雰囲気。



はるくんとおしゃべりすると、素直に楽しい。

誰が相手でも、もっと言葉を交わしたいって思わせる魅力を持っている。



はるくんは、すごい人なんだ。