ケータイ小説 野いちご

暇つぶしに恋はいかが!?

ご期待に添えるとは思えませんが

 そして迎えた水曜日、今日はデスクワークが中心だったので余分な仕事もなく定時で上がることが出来た。ついつい何回か時計をチェックしてしまうのはしょうがない。

 仕事帰りにそのまま、というわけで格好はいつも通りのスーツなので気にすることはないけど、念のためお手洗いで化粧は直しておいた。うん、一応身だしなみということで。

「宮城さん、これからデートですか?」

 そこで同じ部署の小田さんに声をかけられた。この前の食事会で一緒になった彼女は年は私より1つ下だけど、企画事業部には私よりも少し前に移ってきているので、先輩扱いするかどうかで微妙な立ち位置だ。

「あ、ううん。そんなんじゃないけど、少し出かける予定だから」

「またまたー。そのリップの色、よく似合ってますよ」

「ありがとう」

 軽くお礼を告げて先に出る。小田さんの目には好奇心が宿っていたので下手なことは言わないほうがベターだ。

 デートかぁ。お互いに付き合うことを了承して食事に行くのだからデートと言っても過言ではないはずなのに、どちらかと言えば仕事の延長線上である気がしてならない。だからか、私は妙に緊張していた。

 意外と仕事が入って難しくなった、とドタキャンされることを予想していたが、そんな連絡は来ないまま、律儀にも時間通りにチーフは駐車場に現れた。

「待たせたか?」

「いえ。お疲れ様です」

 幸い他の社員に遭遇することはなく、私はこの前と同じ助手席に乗り込み、駐車場を後にすることになった。こういう関係になったから、というわけではないが、車の中で何を話していいのかわからない。しかし先にチーフが今度の企画についての進捗具合を尋ねてきてくれたので沈黙を通すことはなかった。

 お店は思ったより会社から近く、敷地内の木は軽くライトアップされていた。駐車場には何台か車が停まっている中で私は看板に自然と目を遣る。

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