ケータイ小説 野いちご

暇つぶしに恋はいかが!?

嫌いなわけではありません

 花金とはあまり無関係な部署だが、それでも金曜日の晩はどこか心が弾んでしまう。今日はさらに特別で、私が関わるイベントはこの週末にない上、この後、間山先輩から声をかけてもらっていた食事会が開催されることになっているからだ。

 三宅先輩や間山先輩を中心に、他にも何人かに声をかけたらしく、参加者は十数人も集まったらしい。開始は七時半からと少し遅めだが、終業時間が皆、バラバラだったりするのでそれぐらいがいいのかも。

 一度、家に帰ったりする人もいるみたいだが、私はそのまま直行しよう。距離も時間も微妙だし。しかし、そうなるとどうも中途半端だ。

 色々と思い浮かべた中で、ある考えが閃き、時計をちらっと確認して作業にとりかかる。そして七時を回ったところで席を立つと、ちょうどチーフが会議から戻ってきた。

「七条チーフ!」

 印刷したばかりの紙を持ってチーフのデスクに早足で向かう。

「戻ってきたばかりのところ、すみません。これ、この前のイベントの各ブースの内容と集客状況などを私なりに纏めてみたんです。至らない点も多いかと思いますが、よろしかったら」

 一気に捲し立てるように言うと、チーフは少しだけ驚いた表情をした。

「わざわざ纏めたのか?」

「チーフの求めている内容に添えていないかもしれませんが、就業時間が終わってから作ってみたんです」

 あくまでも仕事中に作業したわけではないことを言っておく。また余計なことをして、と言われるのが怖かったからだ。

「そうか。これから三宅たちと食事なんだろ?」

「はい。もしかしてチーフもいらっしゃるんですか?」

「いや、俺はまだ仕事が残ってる。今日は宮城の慰労会なんだろ? 俺がいない方が盛り上がるさ。書類にはまた目を通しておく」

「では、お先に失礼します」

 頭を下げたときには、チーフの視線は既に立ち上げたパソコンに釘付けだった。仕事がなかったら、来てくれたんだろうか? そんな考えが自然と頭を過ぎったが、とにかく私はお店へと急いだ。

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