ケータイ小説 野いちご

暇つぶしに恋はいかが!?

しばらくは仕事に生きるから

「え、別れた? いつの間に?」

 桜の季節も終わって新緑が輝き始めた頃、お馴染みのカフェで久々に会う約束をした同期の小谷に私は付き合っていた彼との別れを最初に報告した。

「年度末に、ね」

「いつものことだろうけど、あえて訊くわ。ちなみに、どちらから……」

 その発言に私は小谷をジロリと睨む。いつものことだろうけど、というのは余計な一言だ。それで小谷も察したらしい。私は飲みかけのアイスティーのストローから口を離した。

「ご想像の通り、私が振られたのよ」

「またぁ?」 

「そんな言い方ないじゃない。それじゃ、私が何度も振られる女みたいでしょ?」

「でも会社に入って二人目で、私が聞いた話では大学時代に付き合っていた彼も、そうだったような」

 そう、そうなのである。私の場合、好きになるのも告白するのもいつも自分から。そして、付き合えてたとしても、結局いつも相手から振られて終わりを迎えてしまうのである。

「私の何が悪かったんだろ」

「そもそもなんて言われて別れたの?」

「『同じ部署で他に好きな人が出来た』」

 それを聞いた小谷が遠い目をしている。言わなくてもわかってる、定番の振られ文句ですよ。だからって同じ部署というのはどうだろうか。

 思い出して私の胸はまたズキリと痛んだ。そう言った慎二の顔は申し訳ない、というよりしょうがない、という表情だった。だからか、私もそれ以上何も言えずに「わかった。じゃぁ、しょうがないね」というのが精一杯だったのだ。

 さらによく聞けば、その好きな人というのが、私も指導にあたったことのある後輩だというのだからこれまた切ない。また別の同僚からの話だと、どうやら告白したのは彼女からだったという。

 交際を隠していたわけではないので、彼女も私の存在は知っていたはずだ。それでも気持ちが抑えられなかったんだろうな。現に告白して上手くいったわけだし。確かに彼女は私と違って可愛らしさもあり、どこか憎めず守ってあげたくなるようなタイプだった。

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