ケータイ小説 野いちご

ひとみ

女、おんな、をんな!



なんてことだよ。
突然、よく知らない女の人と同居しなくちゃならないなんて………

しかも、父の恋人だか、元恋人だかって。
そもそも、父さんはいつだって身勝手すぎるんだよ。

ボクの母さんが家を出て行ったのも、きっとそのせいだ。
ボクには母さんの記憶が無い。
写真の1枚だって見たことないんだ。

ボクに物心ついた時には、もう母さんはいなかった。
父に母のことを聞いても、『お前が生まれてすぐに男と駆け落ちした』と、聞くのもげんなりするような言葉しか返ってこない。
どうも母は、家庭を顧みないで仕事に没頭している父に嫌気がさしていて、ボクを生んだ後、懇意な男と一緒に出て行ってしまったようだ。

あぁ、人ってコワイ。
無責任な父もそうだけど、母だって、生まれたばかりのボクを置いていなくなってしまうのだから。

おかげで、ボクは子供の頃から色々苦労してきた。
仕事に命を懸ける父は、ボクを保育施設に預けっぱなしで仕事に打ち込んだ。
そして、ボクが小学校へ入学する歳になると、ボクを全寮制の小中高一貫のミッション系スクールに押し込んで、自分は仕事のためにさっさと渡航していってしまった。

だから、ボクは家族の繋がりとか、愛情とかってのが今ひとつわからない。
特に小さな頃は父を凄く恨んでもいた。
寂しかったんだ。


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