ケータイ小説 野いちご

ひとみ

夏風邪の贈り物




なんか、起きたときから体がダルい。
頭痛もするし、ちょっと熱っぽい。
風邪でもひいたのかな?

自分の分とひとみさんの分のスクランブルエッグを作りながら、ボクは頭を振った。
余計に頭痛がヒドくなる。

まいったなぁ………

皿に料理を盛り付け、居間に運ぶ。
そこには待ちわびた顔をしたひとみさんがいた。

「いただきまぁ~す」

椅子の上で胡座をかいた彼女はかき込むように、スクランブルエッグを口に入れる。
そんな彼女を見ながら、ふと思う。

美味しそうに食べてくれるのは嬉しいけど、もっと品よく食べてもらいたい。

間違っても口には出せない言葉だ。
ついうっかり、口にしたなら、彼女の必殺技を食らうことになりそうだ。
それは、避けなければ…………

くだらない事を考えているうちに、彼女の皿はキレイに平らげられていた。
ボクはというと、食が進まない。
そんなボクの様子に気付いたのか、

「あら?駿平君、顔色悪いわよ。具合でもわるいの?」

と、ボクをマジマジと眺めながら彼女は言った。

「うん、ちょっと熱っぽいんだ」

そう答えたボクのそばに彼女は近づいてきた。
そしておもむろに、ボクの額に彼女の額をくっつけた。

今、ボクの目の前に………
ほんの………
2、3㎝目の前に………
ひとみさんの顔がある………

女性の顔をこんなに間近に見たことのなかったボクは、思わず呼吸も忘れてしまった。


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