ケータイ小説 野いちご

ひとみ

ゴキブリ狂奏曲



人間とは本当に不思議なものである。
突然ボクのもとにやって来た、ひとみさんとの同居生活が始まってはや2ヶ月。
『慣れ』ってもののありがたさに、改めて感謝してしまう今日この頃である。

『日本の夏は暑い』と言って、日増しに露出度が高くなっていく彼女を見ても、平静を装っていられるようになった。
おそらく2ヶ月前のボクであれば、前傾姿勢になって体を硬直させていたであろう状況においても、今なら堂々と胸を張って歩いていられる。
苦手にしていた女性との会話も最近あまり苦にならずにすんでいる。
まぁ、それはひとえにひとみさんのお陰かもしれない。

彼女は今、台所で夕飯に使った食器の洗いものをしている。
最近では文句も言わず『家政婦』らしく仕事をしてくれている。
相変わらず服装は彼女らしくというか、今も胸元がよく見えてしまうようなタンクトップにホットパンツといった格好をしている。
まぁ、それはボクをからかう意味ではなく元来彼女自身がしたい服装なのだろう。
何はともあれ、ようやく落ち着いた日々が送れるようになった。
相変わらず食事はボクが作っているのだが、それはひとり暮らしでもしなければいけないことなので、あまり苦にはなっていない。
因みに今夜はゴーヤーチャンプルーを作った。
薄味にして、玉子をたっぷり使って作ってみたのだが、ひとみさんにもなかなかの好評であった。
細身のわりに、がっつりと食べてくれる彼女を見て、ボクはひとに喜んでもらえることの楽しさを改めて感じた。


< 28/ 110 >