「あら、起きた?」

「あけましておめでとう、梨沙」



1階のリビングにひょっこり顔を出せば、すでに起きていたお母さんとお父さんにそう声をかけられた。

今年もよろしく、と返す。



部屋着のあたしと違い、ふたりともちゃんと服に着替えている。



「お雑煮のお餅いくつ食べる?」

「んー、ふたつ」



こたつの中にするりと入りこむ。

受験生とは思えないほど気の抜ける新年のはじまりだ。



ぼんやりとみかんと共に並んだおせちをつまんでいるうちに、お雑煮の用意ができたらしい。

はい、と目の前にお椀が置かれた。



「お母さんたちそろそろ出るから、お代わりするなら自分でしてね」



エプロンを外しながらの言葉にこくりと頷く。



我が家はあんまり厳しくない方で、勉強してるか確認されたこともほとんどない。

お正月くらいゆっくりしなさい、なんて言われるくらい。



お餅を口に入れて、もぐもぐと咀嚼しているあたしに本当についてこないのかと訊いてくる始末。