それは何か拭いたり それは鼻をかんだり するものなのに 私が見たそれは 違った使い方をされていた テーブルの上 ひらりと一枚 見にくいけれど ヨレヨレな字で 『ありがとう』 目覚めてひとり 隣には冷めた温もり 残されたのは たった五文字をのせた ふっと笑えば その吐息で飛んでいく 一枚のティッシュ