「…不満そうな顔だな」

「当たり前です」

 そっけなく返した言葉に、すまないという声が返ってくる。
 そんな謝罪もいらないんですが。

 大体、こんな高そうなお店に連れて来るなんて卑怯です。
 大声なんて出せないし、自由に動くことも出来ない。

 向かい側の席に座る父親…大宮怜は、私の様子を窺うような話し方で、私は私で口を開こうとしないので全然会話が持ちませんでした。