「嘘でしょ……!」


あたしはその場から身を離して呟いた。


優志は窓に近づいただけだった。


それが、何者かによって闇の中へと引き込まれて行ったのだ。


「みんな、窓から離れろ!」


旺太が叫ぶ。


みんなその声にはじかれるようにして、車両の前へと移動した。


「なによ、一体どうなったっていうの!?」


愛奈が青い顔をして叫ぶ。


そんなの。ここにいる全員が知りたい事だ。


「闇の中に何かがいるのかもしれないな」


朋樹が言う。


「何かって、何よ!?」


「知らねぇよ! でも、人間を引きずり込む何かがいる!」


朋樹の意見に、あたしも賛成だった。


優志の引きずり込んだ何かが、外にいる。


でもそれは生き物なのかなんなのかは、わからなかった。