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「荷物此処に置いとくぞ」


「うん。重たいのにごめんね。ありがと」


「いーよ。靴持ってくんの忘れた俺が悪ぃんだし」


買い物袋をリビングの隅に置いた優音がチラリとあたしの足を見て苦笑する。

それにつられてあたしも笑った。



優音に抱えられたまま溜まり場を後にしたあたしは、バイクに乗せられた時靴を履いていない事に気が付いた。


流石に靴を取りに行く勇気はなく、仕方ないから裸足のままマンションへ帰宅。


部屋まで裸足で歩いて行ったらいっか、と思っていたら、優音に「怪我したら駄目」と怒られてしまい、なんと部屋まで抱っこして連れて行ってくれた。


預けておいた買い物袋もあり、かなり重たかった筈なのに文句の一つも言わずに抱っこしてくれた優音。


そんな優しすぎる優音にまた泣きそうになった。




「お前、何買ったんだよ?これすっげー重てぇんだけど」


「あ、それ?確か靴を三足ほど……」


と途中まで言って気付いた。


……ヤバイ。また買い過ぎって怒られる!


「り~の~」


慌てて口を噤んだけど既に遅く。


「ごめんー!」


般若様のご降臨に直ぐ様手を合わせて合掌。


「……ったく、」


「ごめんってばー。妃奈と買い物してたらつい“リン”のモノまで買っちゃって……」


確か三足の内二足は“リン”用だったと思う。


「……ふーん。リン、ねぇ……」


何?その不貞腐れた顔は。


「ゆう?」


ツーンと口を尖らせてそっぽを向いてしまった優音を下から覗き込む。


「なんで拗ねてんの?」