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「り、凛音ちゃん。もしかして凛音ちゃんちってアレ?」


「え?うん、そうそう。そこの角を曲がった所に駐車場があるから」



すぐ目の前に見えるのはあたしの実家。


家の裏側の道を通ってきたらしく、此処から見えるのは家の側面だった。


道なりを進んで一つ目の角を曲がれば実家の真正面に出る。



「……お前んちデカすぎねぇ?」


「え、そう?庭があるからそう見えるだけだよ」


「いや、家自体デケェよ」



すれ違い様にフロントガラスから覗くように家を見上げる煌。


同様に彼方と陽も窓にへばりついて見ていた。


陽なんて瞳をキラキラ輝かせながら「これが凛音の育った家かぁ…」なんて言ってる。


もう、


「陽きゅん可愛い」


可愛すぎるじゃないかコノヤロー。


「ちょ、凛音苦し……」


「凛音ちゃん、駐車場って……」


陽をぎゅうぎゅう抱き締めていると、壱さんがバックミラー越しに問いかけてきた。


「あ、空いてる所だったらどこでも!」


チラリと駐車場に目を向け、そう応える。


駐車場に停まっているのは貴兄達がいつも乗っているセダンとバイク三台、そしてパパとママの車。


バイクは嵐ちゃん、時人くん、遊大のだ。


「これだけ広かったら停める所も迷うよね」


「……確かに。コレ車何台置けんだよ」


前列の二人が何かボソボソと言っているけどよく聞こえない。