( 千歳 side )
「……なんだったんだ?今の」
「修羅場?」
「あの2人って、やっぱり付き合ってたのか?」
あの女───葉山澪南が走って教室を飛び出してから、しばらくそのクラス内は騒ぎになっていた。
たまたま廊下を通りかかった俺も、あいつの声に思わず足を止めて、その様子を確認。
声を聞いてからだったからその前に何があったかはわからないけれど、喧嘩でもしたのだろうか。
『いい加減にしてよ……っ!』
叫ぶように出た葉山の声は、泣きそうな声にしか聞こえなかった。
きっと、限界がきたんだろう。本当、バカな女。
案の定、教室から出てきた葉山は、今にも泣きそうな顔をしていた。