……どれくらいそうしていたんだろう。


気が付いた頃には、あたりはオレンジ色を通り越して薄暗くなってきていた。




「落ち着いた?」



そして隣から不意に聞こえるのは、低くて、それでいて優しい男の人の声。


私が泣いている間、何を言うでもなくずっとそばにいてくれた、この人。




「な、なんか……ごめんなさい」


途端に泣き喚いた自分が恥ずかしくなって、顔を上げることができなかった。


なんだかんだで、この人にだいぶ迷惑をかけたと思う。



名前すら知らないのに、目の前でこんなに泣かれたらそりゃ困るだろう。