第5章最果ての丘







「……朔旦冬至まであと一週間だな。」






宿屋の部屋にやって来たジンが、ふと
そんなことを言った。



ゼロがテーブルでココアを飲みながら
ジンを見た。




何も言葉を発しない。





それもそうだ。




あれから、元に戻る他の方法を探しているが、一向にいい方法が思いつかない。




それに引きかえ、元に戻るのに最適な朔旦冬至の日は私たちを待つことなく迫ってきている。




ゼロは、複雑な顔をして言った。





「……早く方法を見つけないと……。」




“……このままじゃ、ずっとこの願いの町に滞在することになる。”





つまり、ゼロの言葉の続きはこういうことだろう。





ゼロは、はぁ、とため息をついた。





そんなゼロを見て、ジンは苦笑しながら言う。




「あれから黒マントの男も動きを見せないしね。……どうするかなぁ。」




確かに、黒マントの男は姿を消したままだ。




一つ言えることは




地響きが前よりも頻繁に起こっているから奴が動いていないわけではなさそう。




と、いう事。





こちらに気づかれないように何か暗躍してたとしたら……。




事態は最悪だ。