僕の父は誰だかわからないらしい。


母は働きながら、1人で僕を育ててくれた。



『じゃあ仕事行ってくるから、良い子にしててね』


『うん。いってらっしゃい』



あまりお金はなかったからか、

小学生になっても、僕の体はまわりの子たちよりも細くて小さかった。


服も数着しか与えらえず、ズボンが擦り切れてもそのまま履くしかなかった。



『おまえのかーちゃん浮気しまくってるくせに!』



未婚なのに母がそう言われていた理由は、後になって分かった。



母の本職は水商売だった。


そのお客さんとよく遊びに行ったり、寝たりしていたようだ。