楽しめない時は上手くいかない。
どんなに必要だと感じていたって。
優しい囁きを繰り返し合たって。
心が"ぽっかり”してしまえば、それまで。
だから今日、あいつと別れると決めた。

仕事の帰りに喫茶店で待ち合わせする事にした。
もう3年の付き合いになって、お互いがいないという状況なんて有り得ない。
あいつはそう思っているだろう。

いつも通りの馴染んだたわいも無い話題を散りばめている。
その心地良い音に揺られながら、豊かに変化する表情を楽しむ僕。
今まではこれで全て良かった。
他に何もいらない、穏やかな日常。
でも今はどうだろう?

不満はない、けど"何か足りない”と僕の中の何かが言う。
三度心の中で繰り返してから、ぎこちなく切り出した。
"別れよう”それはぎこちない発音で僕の口から流れた。

飲み込め無くてあいつはまず“ぽかん”として、それから笑った。
少し経って、まだ押し黙ってる僕を見て本気だと確かめると怒り出した。
怒って、怒って、怒って。
僕が全てそれを受け入れて優しく抱きしめるとアイツは泣いた。
“優しくしないで”と。いつもどおりに子供のようにあやす僕を恨めしいと泣いた。

曇った天気はこの憂鬱なはなしをするのに丁度良かった。