「じゃあ、行きましょう!」
沖田さんが京の町を指差して歩き出す。
その顔はとても輝いて見えた。
「ちょ……」
「ええっと、何が必要かなぁ? 服はあと二つは確実に要るよね」
私がしたのはボソボソと喋りながら行く沖田さんの横を黙って付いていくこと。
それしか出来ない。
京の街なんて始めてきたし。
「ねぇ、茅野ちゃんって刀の手入れする道具持ってる?」
「い、いや……今は……」
手入れをしてなかった訳ではない。
『最低限』の手入れはしていた。
けれど、その道具はこの間持っていた荷物と一緒に置いてきてしまった。
その後は、沖田さんたちと一緒だったので持っていない。
「じゃあ、それも買わなきゃだね。じゃあ、先にそっちに行こう!」
手を引っ張られながら、駆けていく沖田さんについていった。