暗い夜道を歩く武士の列を私は確認する。


よし、報告通り。全員を確認。



「任務、開始」



持っていた提灯を地面に落とす。


一気に視界が暗転する。



「な……! 何奴⁉︎」



私は叫んだ武士の体をざくりと斬り捨てた。



「ぐぁ……!」



血糊を被るけど、そんな事は気にならない。


動揺を隠せていない仲間も刀を抜いたのが気配でわかる。


次々と斬り殺していると。



「くそっ! お前なんか……死ねぇっ!」



味方の血を被った彼は血眼の瞳で私に迫って来た。


そんな彼に躊躇わず刃を突き立てる。


被る血は気持ち悪い筈なのに心地いいと感じる自分がいるのはいつもの事。


そんな自分に嫌悪しながらじとりと彼を見据えた。



「グ……はァ! ……」



上体を傾いだ彼が最後で、辺りには静けさと血の匂いだけが残った。



「……任務、完了」



これで、終わり。


あの依頼主との契約は完了した。


口を封じられる前にどこかへ行かなければ。


そしてまた、生きる為に……命を啜る仕事を探さないと。


私はフラフラとした足取りで歩き始める。


何だか思い通りに体が動かない。


ひどく体が重い。


……そういえば、最近何も食べてないな。





月夜に照らされる道。


そこには無数の血の跡と物言わぬ骸と化した武士の姿が。


飛び散った血痕の中を踏み荒らすでもなく、ただ歩き続けた。


その瞳を微かに陰らせながら。