【琥汰side】




「……はい、じゃあこれで帰りのHRを終わります。あ、林と宮咲は約束どおり、居残り掃除な」



「えー! なんで俺がコイツなんかと……」



担任の言葉に俺は不満を口にする。
が、内心は、にやけそうなほどうれしかったりする。



「私だって、林なんかと居残り掃除とかイヤだし!」



俺はとなりの席のコイツ……宮咲桜菜が好きだからだ。



俺がコイツと出会ったのは今年の4月。
クラス替えではじめて同じクラスになった。



コイツをはじめて見た瞬間、俺の目も心も奪われた。
いわゆる、ひと目ボレってやつ?



最初は見てるだけだったけど、席替えで今の席になって、俺はアピールするチャンスだと思った。



とにかくコイツの心の中に少しでもいたくて、必死に毎日毎日からんだ。
でも、ついイジワルをしたくなってしまって……。



結果、今のような犬猿の仲になったってワケ。
コイツはまったく俺の気持ちに気づく気配もないけど。




……いつか絶対に俺のモンにしてみせる。