~2年後~



「想ちゃん、急いで、生まれちゃうよ」


想太の携帯に何度も可南子の妹の真奈から電話が入った。


「可南子は?
大丈夫か?」



「いいから、早く来て」


それだけ言うと、真奈は電話を切った。



可南子は、双子を身ごもっていた。
ただでさえ普通の妊婦よりお腹が大きいのに真面目な性格が災いして働き過ぎた可南子は、妊娠中毒症になりかけていた。
そのため、可南子は大事をとって入院していた。
真奈は、そんな可南子を助けるために福岡から手伝いにきていた。

真奈の話では予定日も近いせいもあり、今日、急に産気づいたらしい。
そして、緊急の帝王切開が始まっていた。

想太はどうしても外せない会議が入っていたためすぐに駆けつけることはできなかった。


双子だから帝王切開はしょうがない・・・
でも、可南子のお腹を切ると思うだけで、想太は卒倒しそうになった。


可南子、死なないでくれ・・・