想太は会社のデスクの上の山積みになった書類に、一つ一つ目を通していた。
最近は仕事が忙しく、家に帰る時間も遅くなってしまうことが多かった。

今夜も急な接待が入り、ほとほとうんざりしていた。

するとちょうどタイミングよく、美咲がコーヒーを持って入ってきた。

可南子が辞めるという事で、美咲が可南子の仕事を引き継ぐことになっていた。
美咲は想太の顔を見ると、大きくため息をついた。


「どうした?」



「部長、可南子さんはすごいです。
今まで相当な仕事をこなしてきてますよ。

私、無理かもしれない・・・」



「そうなんだ・・・」



「そうですよ。
可南子さんがこの部からいなくなるなんて、相当、大きな損失ですよ」


美咲はそう言って出て行った。


想太は机の上の書類の山を見て気合を入れ直した。


可南子にできて俺にできないわけはない・・・