六月も後半に入った週末に、真奈が東京へ彼氏と一緒に遊びに来た。
福岡の両親には、女の子の友達と一緒ということになっているらしい。

想太も可南子も、女の子の友達と来ると聞いていたために、彼氏と一緒に現れた真奈を見て驚いてしまった。


「今、想ちゃんって、お姉ちゃんの家に住んでるの?」



「そうだよ」


可南子がそう答えると、


「4人も泊まれないよね・・・」


真奈は不満げにそう言うと、想太を見て何かひらめいた顔をした。


「想ちゃん、自分の家があるんでしょ?
そこの家を、2泊、私達に貸してください」


「だめ」


想太が答える前に、可南子が厳しくそう言った。


「え~、じゃ、あっくん、泊まれないじゃん。

あ、そうだ。

想ちゃん、2泊だけ自分の家に帰るとかできないですか?」


想太はわざと怒ったふりをして「ダメ」と言った。


「なんで?」



「なんでも」


想太はもう一人は嫌だなんて何があっても言えなかった。