想太は溜まっている仕事を終わらせるために、この日は会社に残って、残業をしていた。

可南子が今夜は大学の友達と食事へ行ったため、家には誰もいなかったからだ。

想太が部長室にこもっていると、美咲が入ってきた。


「部長、先に帰らせていただきます。
部長は、まだ帰らないんですか?」



「うん、もう少しやってから帰るよ」



「何か、食べるもの買ってきましょうか?」


そう言われれば、さっきからお腹の虫が鳴っていた。


「ありがとう。
でも、大丈夫。
気分転換に、自分で買い物に行くから」


美咲は頷いて先に帰って行った。


想太はこのビルの隣にあるコンビニで買い物をしていると、店の前を瀬戸が歩いているのを見かけた。
とっさに店を飛び出した想太は、瀬戸を追いかけた。


「瀬戸さん」


想太が声をかけると瀬戸は振り返り、そしてそこに立っている想太を見て驚いた。