…吸血鬼というのは
夜行性の生き物だ。

夜が近づけば、自然と体も
目覚めていき、夜を根城とする
蝙蝠や梟のように
活動を始める。


それは私、ティアナにおいても
例外ではなかった。


私は基本、朝に目覚めることは
ほとんどない。

〝このあいだ〟起きた時も
数年ぶりのことであるくらいだからだ。



私は吸血鬼の中ではけっこう
〝早起き〟をする方で、だいたい
おやつどきにはいつも起床をしている。

アルは、私が起きている時には
たいてい家に居るが、
すぐに何処かへ出かけてしまう。
だから基本的に私は
家の中を独りで過ごしていた。
度々、〝ヒイロ〟が訪ねてくれるから
まだいいのだけれども…。


アルが出かけている時、幾度となく
外へ出ようと思ったが、
結局私は外へ行くことが
できずにいた。