いつだって世の中は理不尽なことばかりで溢れている。


どういう経緯でこうなったのか、なんで一方的に言いがかりをつけられなきゃいけないのか、考えてみたって思い当たる節はまったくないんだけど。


でも、これがあたしの運命だって言われたら妙に納得出来ちゃう。



それにしても、思い込みってほんとにすごい。


可愛い人でも、ここまで変わるんだもん。



「あたしの彼氏、誘惑したでしょ!?あんたに誘われたって言ってんだけどっ!」



「し、知りません……っ!」



否定してみるものの、あたしは知っている。



「ウソつくんじゃねーよ!!この泥棒女!!」



あたしの声は誰にも届かないということを。


誰にも信じてもらえないということを。



「男好きのくせにっ!」



「人の彼氏を誘惑するなんて最っっ低!」



四方を女子の先輩4人に囲まれて、なす術もなく立ち尽くす。


あたしを見下ろす瞳はとても冷たくて、息をするのも忘れそうになる。