ケータイ小説 野いちご

本当は誰よりも ー 黒崎隼人 ー

もう、やめた。


夜の半ばをため息で費やし、微睡みの中で求める。

その手をー

その瞳をーー

その唇をーーー


あと、幾夜願えば、君は俺を見てくれる?




いつ好きになった?と、問われても皆目不明だ。
自然と、目が追うようになって、気付いた時には好きになってた。



だけど、彼女は俺の部下であり、年もかなり離れている。
社会人として、ましてや同じ会社の部下に手を出すわけにはいかないーーー




カチャカチャーーー


目線は、パソコンの画面に向けているもののーーー。


「今度は長く続きそうなの?」

「わかんないよ。向こうが好きって言うからーーーー」


就業中にも関わらずヒソヒソと話しているつもりだろうその会話に、俺は耳と神経を全集中させているーーー



ピキッ・・・


二人の会話の内容を脳が理解した瞬間それまでタイピングしていた手が止まった・・




目線が二人の方にいなかった事を自分で褒めてあげたい。







他の男の話をーー



また俺じゃない男を、橘は選んだのかーーーー




心の燻りは自分でも気付かぬうちに少しずつ大きくなっていく



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