わたしの前に、とても美しい顔がある。



くっきりと彫りが深くてエキゾチックなその美貌に、わたしが持てる技術を駆使してメイクを施した。



白い陶器のようになめらかな肌。

整えた柳眉は、凛々しげで優雅。



すんなりした鼻筋は、ハイライトを載せて華やかに。

しゅっとした頬は、コーラルピンクのチークでふんわりさせる。

薄めの唇は、ボルドーの口紅でふっくらと描き直す。



アイシャドウは、シックな色味のグラデーション。

何もしなくても長いまつげを、マスカラで強調する。

閉ざされたまぶたの上をラメのパウダーでなぞって、アイメイク完成。



わたしは「彼」に声をかけた。



「目を開けていいわよ」