それから数日が経過していた。


あれ以来、颯は女を部屋には入れていないし、学校でも何も変化も起こらなかった。


このまま何もないのであれば、それでいい。


だけどあたしの胸には妙な胸騒ぎがあり、いまだに監視カメラの映像を確かめ続けていた。


たとえ颯が《今日は早く帰るよ》とメールを送ってきても、その言葉を信用することができなくて、必ずカメラを確認した。


颯の言葉よりも監視カメラの映像が、今のあたしにとっては一番信用できるものになっていたのだ。


そんなある日、杏里が嬉しそうに笑いながら教室へ入ってきた。


「朝から嬉しそうだね?」


あたしがそう言うと、杏里は大きく頷いた。


「実はね、昨日好きな人からメールが来たの!」


「へぇ!」


あたしは杏里の言葉に目を丸くする。


奥手だと思っていたけれど、頑張って色々と行動しているようだ。


好きな人とは他愛のないやりとりを数回するだけの関係らしいけれど、杏里はすごく満足そうだ。